正しい脳疲労の回復法
- komodaseikotsuin
- 2023年2月1日
- 読了時間: 6分
今回は脳の疲労回復法についてお伝えします。
以下の症状に思い当たる点のある方は、是非お試し下さい。
寝ても取れない疲労感。全身の倦怠感。集中力・判断力の低下。頭痛。肩凝り。眼精疲労。息苦しさ。動悸。高血圧。手足の痺れ。腰痛。その他体の痛み。吐き気。胸焼け。便秘。下痢。不眠。不安。パニック。
近年、脳科学の進歩や各種測定機の進化に伴い、『疲労』に対する研究もかなり進んできています。
日本でも文部科学省などを中心に産官学連携で研究を行うなど、着実に成果を上げて来ています。
今回はそんな研究結果を元にした、自分で出来る脳の疲労回復法をお伝えします。
目次
① そもそも『疲労』とは?
②『中枢性の疲労』『抹消性の疲労』
③『抹消性の疲労』は起こりにくい
④『脳疲労』とは
⑤ 原因からみた『脳疲労』の対策
⑥ 具体的な取り組み
①
そもそも『疲労』とはなんでしょうか。
日本疲労学会の出している定義に従い医学的に表現すると、『運動や労働など身体的・精神的作業負荷を継続して与えたときにみられる、身体的あるいは精神的パフォーマンスの低下現象』となります。
パフォーマンスの低下とは、本来の能力が発揮出来ない状態で、具体的には『思考力の低下』『反応の鈍化』『注意力散漫』『動作緩慢』『行動量の低下』などをさします。
②
さらに『疲労』は、『中枢性の疲労』と『抹消性の疲労』に分けられます。
『中枢性の疲労』が今回取り上げる脳疲労の事です。
『抹消性の疲労』とは筋肉が損傷するようないわゆる肉体疲労の事です。
③
肉体疲労の指標は筋肉の損傷度合いで測りますが、実はよっぽどの重労働や過度の運動をしなければ、筋肉の損傷が異常な数値を示すほどにはなりません。
具体的な例を挙げると、自転車でのツーリングやジョギングなどの有酸素運動を4時間程度行ったとしても筋肉はほとんどダメージを負いません。
つまりデスクワークのような、極端な重労働や過度な運動をしているわけではない時に感じている『疲労』は、その大部分が『中枢性の疲労』=『脳疲労』によってもたらされているという事になります。
④
では問題の『脳疲労』について説明してまいります。
脳といっても各所色々な働きがあります。その中でも脳疲労に深く関わっていると言われているのが自律神経とその中枢(視床下部)の機能低下です。
なぜ機能低下が起こるのかというと、働き過ぎによって神経細胞が酸化ストレスを受けるからです。
細胞は働くためにエネルギーを作る必要があります。エネルギー代謝の際に取り込んだ酸素のうち1〜2%が活性酸素に変化します。この活性酸素が細胞を酸化させてしまい、酸化した細胞は機能低下を起こします。
人間にはこの活性酸素を処理する機能が備わっていますが、この抗酸化能力は年齢とともに低下していきますし、そもそも働き過ぎによって抗酸化能力を上回るペースで活性酸素がつくられている事が問題なわけです。
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これらの原因から考えて『脳疲労』の対策は、自律神経の働き過ぎを抑えて、活性酸素も含め脳内の老廃物の処理能力を高める事がポイントになるといえます。言い換えれば、これが正しい脳の疲労回復法です。
では実際に、どの様にして自律神経の働き過ぎを抑え、脳の老廃物の代謝を促すかを見ていきましょう。
自律神経には交感神経と副交感神経があります。
役割としてはよく車のアクセルとブレーキに例えられます。
交感神経がアクセルで副交感神経がブレーキです。
交感神経は体を活動的にさせ緊急時やストレス下でその働きを強めます。
副交感神経は体を休息させたり消化吸収を促すために働きます。
現代人は交感神経が過剰に働き過ぎてしまっている人が多数派です。ですので、交感神経の過剰な興奮を鎮める事ができれば、それは自律神経の中枢への負担を減らす事に繋がります。
さらに、交感神経が興奮状態にあると血管が細く締まります。
人は血流によって各種細胞に必要物質を届け不要な老廃物を回収してきます。
血管が細くなるという事はその通りが悪くなるということで、老廃物の処理力も当然低下します。
逆に副交感神経の働きが優位になると血管は拡張します。
自律神経はシーソーのように働く性質があり、交感神経の働きを弱められればある程度自動的に副交感神経の働きが強調されてきます。
つまり、交感神経の過剰な興奮を鎮める事ができれば、結果的に自律神経の負担をへらし活性酸素の発生を抑えられ、さらに血管も拡張され老廃物の処理能力も上がるという事になります。
もう一点、脳の疲労回復においてとても大切になるのが睡眠です。
脳の休息と回復は基本的に睡眠時に行われます。さらに最新の研究で、脳は睡眠中に脳に溜まった老廃物を洗い流している事が分かってきました。その事からも脳の疲労回復にとって、いかに睡眠時間の確保とその質が重要なポイントであるかが分かります。
睡眠の質を高める為にも、入眠前には交感神経の緊張を鎮め、しっかりと副交感神経にスイッチを切り替えておく事が大切になります。
⑥
以上の事から脳疲労の回復において、交感神経の働き過ぎを抑え、副交感神経の働きを刺激する事がとても有効な手段である事が分かっていただけたと思います。
最後にこれらの目的を可能にする具体的な取り組みをお伝えします。
交感神経の緊張を和らげ、副交感神経の働きを刺激するには、『呼吸』を使うのが非常に効果的である事が分かっています。
今回紹介する呼吸法は腹式呼吸で行って頂きます。
腹式呼吸を行う際にメインで働く横隔膜には副交感神経が多く分布しています。横隔膜を動かす事で副交感神経を刺激しその働きを強め、シーソーの原理で交感神経の働きを鎮めます。
今回は副交感神経の働きを強める呼吸法の中でも、寝る前に行う事で睡眠の質を高めてくれる方法を紹介します。
行うタイミングは寝る直前です。ご自身のベッド(布団)に入った状態で行います。
仰向けで寝て頂きます。(可能であればふくらはぎの下にクッションなどを入れて頂き、膝から下が拳一個半くらい高くなる様にして行うと、リンパの流れもさらに良くなります。)
呼吸は必ず腹式呼吸で行って下さい。
鼻から吸って鼻から吐きます。
ゆっくり息を吸って、それ以上の時間をかけて息を吐きます。あえて秒数の指定はしません。
苦しくなるほど無理して秒数を伸ばしてはいけません。苦しくならない程度にゆっくり吸って、吐く息の方が長くなる様に息をゆっくり吐きます。これが大切なポイントになります。
5分程度行うことを目安として下さい。もちろん、呼吸法をしながらいつの間にか寝てしまっていたなんて事になったりもします。むしろそれで良いくらいに考えて行って下さい。
早ければ数日で朝の目覚めの違いを感じられるかもしれません。
以上が自分で出来る脳疲労の回復法になります。
長文を最後まで読んで頂きありがとうございました。
睡眠の質を高めてしっかり疲労を回復させ、自身の健康を守って行きましょう。
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