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本当は怖い眼精疲労

眼精疲労の全身症状
眼の機能と神経

《眼精疲労の全身症状》

 

慢性的な肩こり、頭痛、倦怠感、不眠、食欲不振、、、

 

これらは眼精疲労によって起こる症状のほんの一部です。

 

肩コリや頭痛なら眼精疲労とも関係が想像しやすいですが、不眠や食欲不振までいくとちょっと無理矢理感があるような気がしてきますよね。

 

実はそれ以外にも、動悸、めまい、便秘、冷え、など多岐にわたります。 

 

精神的症状では、情緒不安定、イライラや不安感、うつなどの症状が現れることもあります。

 

なぜそのような症状と眼精疲労がつながるのかを解説したうえで、どういう事が負担になるかを知って頂き、それらを踏まえた具体的な対処法を4つお伝えしていきます。

 

 

 

《眼の機能と神経》

 

なぜ眼を酷使すると全身に症状が出るのか、端的に言えば、眼を酷使すると言う事は自律神経系(脳)を酷使する事になるからです。

ではまず、自律神経と眼の関係について見ていきましょう。

 

眼に関わる自律神経の仕事は主に3つあります。

①見たい対象にピントを合わせる。

②眼に入る光量の調節

③涙の分泌

大切な部分ですので、少し細かく見ていきます。

 

 

①ピント調節

手元の本の字が読めるのも、壁に掛けてある時計が読めるのも、そこにピントを合わせる事が出来るからです。

人は眼にあるレンズ(水晶体)の厚みを調整する事でこれを可能にしています。

このレンズの厚みを調整している筋肉(毛様体筋)を自律神経がコントロールしています。

遠くを見る時は、自律神経の中でも交感神経が働き、筋肉を緩める事で遠くにピントを合わせます。

近くを見る時は、自律神経の中でも副交感神経が働き、筋肉を緊張させる事で近くにピントを合わせます。

人の眼は近くを見る時に筋緊張が必要になります。

 

交感神経が作動ピント調節筋が緩む遠くを見る

 

副交感神経が作動ピント調節筋が緊張近くを見る

 

 

②光量の調節

人は暗くても明る過ぎても対象物が見づらくなります。その為状況に合わせて眼に入る光の量を調節する必要があります。

その光量を調節しているのも自律神経です。瞳孔(黒目の部分)の大きさを調整する事で眼に入る光量の調節を行なっています。

明るい所では瞳孔を収縮して入る光量を減らします。その指令を出すのが副交感神経。

暗い所では瞳孔を広げて入る光量を増やします。その指令を出すのが交感神経。

交感神経瞳孔を広げる

副交感神経瞳孔を狭める

光量の調節反応だけではなく、近くのものを見ようとしたときも副交感神経が働き、瞳孔を狭め見やすくします。

 

 

③涙の分泌

「見る事には直接関係なさそうだな。」なんて侮ってはいけません。涙の質と量が低下すると、眼にかかる負担はとてつもなく増します。涙無しに眼は機能を保てないと言っても過言ではないのです。

①と②では交感神経と副交感神経が正反対の働きを担当していましたが、涙の分泌に関してはどちらも出す方向に働きます。と言っても副交感神経がメインになるので、交感神経の働きが優位な状態になると涙の分泌量は減る方向に傾きます。

 

 

ここまで読んで頂けると、自律神経の働き無くしてまともに『見る』事はできない、ということが分かると思います。ちなみに、目線をコントロールしたり上まぶたを挙げるのにも関わります。

つまりこの構造ゆえに、眼精疲労が起こるほど眼を酷使するという事が、自律神経系(脳)を酷使するという事につながるわけです。酷使され自律神経系が不調をきたすと、自律神経系が全身で行なっている仕事に不調が現れ様々な症状が出てくるという流れです。

 

特に現代人の眼の使い方は、多大な負担を眼の筋肉と自律神経系にかけています。次はその辺りを確認していきましょう。

 

 

 

《現代社会特有の負担》

 

まず、単純に使い過ぎています。

 

自律神経系に備わっている自然な活動リズムから考えて、

 

本来人間は日の出と共に活動を始め、日の入りと共に休息に入るように出来ている事が分かります。

 

眼もそのリズムで使われる事が想定されていますが、日の入りと共に体と眼を休める事ができる現代人はどれだけいるのでしょうか。

 

眼にとって1番の休息タイムは睡眠です。

 

完全に働きを停止する事はありませんが、自律神経系にとっても睡眠が大切な休息になります。

 

特に日本人は世界的にみても睡眠時間が短いといわれています。

 

酷使される時間は増えているのに回復する為の時間が減れば、当然ダメージは蓄積していきます。

 

近くを見る事が多くなり過ぎているのも大きな問題です。

 

人の眼は本来、近くを見るより遠くを見る方が負担なく出来るようになっています。

 

何故なら、最低でもおよそ499万年間は、遠くを見る能力、早く外敵を見つける能力が生存確率を高める環境で生活してきたからです。

 

なので、日中は交感神経が優位に働き遠くを見やすく、

 

日が暮れれば副交感神経が優位に働き休息に入って、暗がりの中で仲間と身を寄せ合い手元を見やすく、という自然なリズムがあります。

 

このリズムに逆らって昼も夜も強い光の中で近くを見続けることは、眼においても自律神経系においても、とてつもなく負担が大きいのです。

 

さらに、デスクワークなど近くを見続ける仕事をしている人は要注意です。

 

近くを見るという事はピント調節の為に副交感神経を使います。

 

同時に、何かに集中して取り組むというのは交感神経の働きを強めます。

 

交感神経と副交感神経が両方とも興奮した状態になるわけです。

 

基本的に、交感神経は体を活動的にさせ、副交感神経は体を休息させる働きがあります。

 

本来なら、交感神経と副交感神経はシーソーのように交互に働きを強めたり弱めたりします。

 

両方ともが働きを同時に強めるという事は、車で例えるとアクセルとブレーキを同時に踏み続けている状態です。

 

そんな事をしたら、ブレーキなのかエンジンなのか、もしくはその両方ともが壊れてしまいます。

 

現代人はこれを平気で何時間も行います。

 

結果として自律神経のバランスを崩してしまうというわけです。

空気の汚れや空調による乾燥、コンタクトレンズの使用なども現代ならではの眼にかかる負担です。

 

これらは角膜への直接的な刺激になるので、頭痛持ちの人は特に注意が必要です。

 

 

ちなみに、自律神経系の失調を放置し続けているとストレス反応により免疫力が低下します。

 

その影響からセロトニンの減少を引き起こします。

 

セロトニンは精神の安定や安心感や平常心、頭の回転をよくして直観力を上げるなど、脳を正常に働かせる鍵となる脳内物質です。 

 

疲れてくると思考力が低下したり、漠然と不安が大きくなったりするのはこの辺りの影響もあります。

 

セロトニンは睡眠のリズムを作るメラトニンの原料でもあります。

 

自律神経系の失調を放置していると睡眠にも問題を起こす原因がこの辺りにもあります。

 

 

さて、これでいかに現代人の生活スタイルが、眼や自律神経系にとって厳しい環境なのかが分かって頂けたかと思います。

 

まとめると、『不自然な使い方』かつ『使い過ぎ』ているというのが問題だという事がわかります。

 

逆に言えば、不自然な使い方をなるべく避ける様にして、上手に休める事が出来れば、眼を守る事が出来るわけです。

 

ではその具体的な方法をお伝えしていきます。

 

 

 

 

《眼を守る具体的な取り組み》

 

①眼のストレッチ

メガネやコンタクトはしたまま行って下さい。

 

同じ姿勢を長時間続けると体が凝り固まってしまいますよね。

 

その時、背伸びをしたり、軽く曲げ伸ばし(ストレッチ)をすると、その硬さがほぐれて少し楽になります。

 

眼も同じで、近くの同じ距離の場所を見続けることで筋肉が凝り固まってしまいます。

 

そこで必要になるのが、眼のピント調節筋のストレッチと、眼球の動きを作っている筋肉のストレッチです。

 

眼のストレッチをする際は立っていても座っていてもどちらでも大丈夫です。

 

ただし軽く背筋を伸ばし姿勢を整えた状態で行う様にして下さい。

 

まず準備体操として、眼をギューっと3秒間閉じて眼を開ける。これを2回やりましょう。

 

次に眼球運動のストレッチです。

 

顔を真っ直ぐ前に向け眼だけで真上を見て2秒キープします。

 

同じように2秒ずつ、左斜め上左横左斜め下真下右斜め下右横右斜め上真上と目線を一周させます。

 

終わったら5秒ほど軽く眼を閉じます。

 

今度は同じ様に逆回りで一周させて、また5秒眼を閉じて終わりです。

 

次にピント調節筋のストレッチです。

 

顔の前に片腕を伸ばし親指を立てます。

 

その親指の延長線上6メートル以上先に目標物を決めます。

 

親指の爪と目標物を交互に6秒ずつ見ます。

 

これを10回行います。6メートル先が難しい場合、3メートル先でも大丈夫です。

 

デスクワークなど近距離を長時間見続ける仕事をしている方は、11回、毎日行うとようにして下さい。


スマホ老眼や仮性近視で視力が落ちている人は、このストレッチで視力が回復する人もいます。

 

 

②眼を温める

市販のホットアイマスクを使ってもいいですし、濡れタオルをレンジで温めて即席の蒸しタオルを作ってもいいです。

 

温度の目安は4043°C

 

タオルを軽く濡らして水が滴り落ちないくらいに絞ります。それを600Wの電子レンジでしたら40秒ほど加熱すれば出来上がりです。※温めすぎて火傷しないよう注意してください。

 

それを目の上にのせて温めていきます。25分程度を目安にのせておきます。

 

注意点として、医師に温める事を止められている場合や、結膜炎や眼のアレルギー、眼の充血や腫れ、直近で眼や眼の周りをぶつけたなどの炎症症状が出ている場合は、決して温めてはいけません。

 

それらが無ければ1日に何回やっていただいても大丈夫です。

 

眼を温めると、ピント調節筋の緊張を緩める事ができます。

 

凝り固まって低下した血流も回復し、酸素や栄養を運びやすくしてくれます。

 

さらに、眼の冷えを解消する事はドライアイの改善にもたいへん役立ちます。

 

 

 ③強い光から守る

強い光は眼の細胞(角膜、水晶体、網膜など)も傷付けます。

 

メガネなどで眼に入る光を弱めてあげたり、ディスプレイを見る際は明るさを調整するなどして眼の負担を減らしましょう。

 

最近はよく聞くようになったと思いますが、テレビやパソコン、タブレットなど、画面から出ている『ブルーライト』が悪さをします。

 

特にスマホは眼と画面の距離が近づきやすいのでタチが悪いです。

 

強い光を浴びるタイミングにも気をつけたいですね。

 

『ブルーライト』は太陽光にも含まれる成分で、人は太陽光を浴びると「よーし活動するぞ!」というスイッチ(交感神経)が入ります。

 

寝る前にこのスイッチがオンになってしまうと、睡眠の質がとても低下します。

 

寝ても体が回復し辛くなります。もちろん寝つきが悪くなったりと不眠の原因になるわけです。

 

最低でも寝る1時間前からは強い光を浴びないように心がけましょう。

 

 

④長時間の連続使用を避ける

シンプルですが、これが最も重要です。

 

ですのである程度の目安をお伝えします。

 

手の届く距離に目線を固定する事が多い場合、理想的には眼の疲れが起こり始める20分毎に休憩し、数メートル先を20秒間ほど見ると短時間で調節筋の疲労が回復します。

 

1時間眼を使うと疲労回 復に5~10分くらい必要になります。

 

遠くを見ることで、調節筋はリラックスできます。

 

20分したら20秒休むというこの回復法は、忙しい仕事の最中でも実行可能な方法かと思われます。

 

疲れが酷くならないうちに眼を休めましょう。

 

 

以上4つの対策法をお伝えしましたが、どれか1つでも効果はあります。取り入れやすいものから試してみて下さい。

 

 

 

≪眼科受診のすすめ≫

最後になりましたが、眼の症状は自覚し難いものも多く、その割に見落とすとリスクの高い病気が隠れている事もあります。

 

脳の問題が隠れていた場合など、「ちょっと様子見ておこう」が命取りになる場合さえあります。

 

何かちょっとでも変だなと思ったら、すぐに専門医(眼科)の診察を受けましょう。

 

 

 

 

長文を最後まで読んで頂きありがとうございました。

日々治療をしているなかで、特に心理的な負担と、眼にかかる負担が自律神経系のダメージの元になっているという事が多いと分かりました。

 

心理的な負担は対処が非常に難しいのが現実です。眼のケアだけでも積極的に取り組んでいきましょう。

 

当院では独自のハリ治療により、自律神経の異常興奮を直接沈める施術や、眼精疲労を取り除く施術を行なっています。

 

施術には手足の末端のツボを使うので着替えは不要です。

 

お困りの症状などありましたらお気軽にご相談ください。

 

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